四十九日法要が終わりました。次にやることは何ですか?(相続手続き③)

四十九日法要が終わると、一区切りついたように感じる方も多いでしょう。 
しかし、実際にはここから本格的な相続手続きが始まります。 

死亡直後は葬儀や役所への届出など、期限の短い手続きが中心でした。 

一方、四十九日以降は、相続財産の調査や遺産分割の準備、税金に関する確認など、今後の相続を左右する重要な手続きが増えてきます。 

今回は、四十九日法要後から死亡後約4か月頃までに行うべき主な手続きをわかりやすく解説します。 

1 なぜ「四十九日以降〜4か月目」が重要なのか? 

葬儀直後の手続き(死亡届の提出や年金受給停止など)は「役所関係の期限付き手続き」が中心でした。
これらは比較的短期間で機械的に進められるものが多かったはずです。 

一方、四十九日を過ぎてから直面するのは、「故人の財産や権利を引き継ぐ(あるいは放棄する)ための法的・税務的な手続き」です。 

これらは、親族間での話し合い(遺産分割協議)や、故人の生涯の所得を計算する作業(準確定申告)など、時間と労力がかかるものばかりです。
そして、何よりも以下の2つの強力な法的期限が4か月以内に迫っていることが、この時期の最大のポイントです。 

・3か月以内の期限: 相続放棄・限定承認の決定 
・4か月以内の期限: 準確定申告(所得税の申告・納税) 

「まだ時間がある」と思っていると、必要書類の収集や親族間の調整であっという間に期限を迎えてしまいます。
全体の流れを見通し、計画的に進めていきましょう。 

2 遺言書の有無を改めて確認する 

相続手続きを進めるうえで最も重要なのが、遺言書の有無です。 

遺言書が存在する場合には、基本的には遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。 

確認すべき主な場所は次のとおりです。 

・自宅の金庫や机 
・貸金庫
・公証役場(公正証書遺言) 
・法務局(自筆証書遺言書保管制度) 
・弁護士・司法書士などの専門家 

見つかった自筆証書遺言書を勝手に開封せず、家庭裁判所で「検認」という手続きを行う必要があります。 

なお、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言では検認は不要です。 

3 相続財産を詳しく調査する 

(1)プラスの財産を調べる 

相続では、まず亡くなった方の財産を正確に把握することが大切です。 

例えば次のような財産があります。 

・現金・預貯金 
・株式・投資信託 
・不動産
・生命保険金
・ゴルフ会員権
・自動車
・貴金属・骨董品 

金融機関から残高証明書を取得したり、不動産の固定資産税納税通知書を確認したりして、一覧表を作成すると後の手続きがスムーズに進められます。

(2)マイナスの財産も忘れずに確認する 

 相続では借金も引き継ぎます。 

代表例は次のとおりです。 

・住宅ローン 
・カードローン
・未払税金
・未払い医療費
・事業上の借入金
・保証債務(負担する金額が明らかになっている場合) 

借金の有無によっては相続放棄を検討する必要があります。 

信用情報機関への開示請求を行うことで、借入状況を確認できる場合もあります。 

4 相続方法を検討する

 亡くなった日から数えて3か月以内に判断しなければならないのが、「どのように相続するか」という意思表示です。 

相続財産には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金や未払金などの「マイナスの財産」も含まれます。
これらをどう引き継ぐかについて、「単純承認」、「相続放棄」、「限定承認」の3つから選ぶ必要があります。 

四十九日を過ぎる頃には期限が迫っていることも多いため、借金が多い可能性がある場合は早めに判断しましょう。 

(1)単純承認

 プラスの財産もマイナスの財産も、すべて無条件で引き継ぐ方法です。 

3か月以内に何もしなければ、自動的に単純承認したとみなされます。
また、形見分けの範疇を超えて故人の財産を処分・消費した場合も、単純承認したものとみなされます。 

(2)相続放棄・限定承認

 相続放棄や限定承認は、「自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。 

① 相続放棄とは 

相続放棄とは、財産も借金も一切相続しない制度です。 

例えば、借金が多い、疎遠だった親族で財産状況が分からない、他の相続人に財産を譲りたいという場合に利用されます。 

放棄すると最初から相続人でなかったものとして扱われます。 

注意点として、自分が相続放棄をすると、相続権は次の順位の親族(子→親→兄弟姉妹)へと移ります。
黙って放棄すると親族間でトラブルになるため、必ず事前に連絡を取りましょう。 

② 限定承認とは 

限定承認とは、「相続した財産の範囲内だけ借金を返済する」制度です。 

「借金の有無が不明」や「どうしても手放したくない実家がある」といった場合には有効です。 

一方で、相続人全員で申立てが必要であるため、1人でも反対する人がいると利用できません。
また、手続きが複雑というデメリットもあります。 

そのため実際には相続放棄の方が多く利用されています。 

③ 期間の延長(熟慮期間の伸長) 

故人の財産調査が複雑で、3か月以内にどうしても財産状況が把握できない場合は、家庭裁判所に申し立てることで、この3か月という期間(熟慮期間)を延長してもらうことができます。 

ただし、これも「3か月以内」に申し立てる必要があります。 

5 準確定申告 

通常、確定申告は1年間の所得を翌年の2月〜3月に行いますが、年の途中で亡くなった人の場合、「1月1日から死亡した日までに生じた所得」について、遺族が代わりに申告・納税を行わなければなりません。
これを準確定申告と呼びます。 

① 期限 

相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 

② 申告先 

故人の死亡時の住所地を管轄する税務署 

③ 申告義務者

 相続人および包括受取人(全員の連名で提出するのが原則です) 

④ 準確定申告が必要な主なケース

 すべての人が対象になるわけではありませんが、以下に該当する場合は申告が必要です。 

・個人事業主(自営業)だった、不動産賃貸収入(家賃収入)があった 
・給与収入が2,000万円を超えていた 
・2か所以上から給与をもらっていた 
・給与所得や退職所得以外の所得(副業や公的年金など)の合計が20万円を超えていた 
・公的年金等の収入が400万円を超えていた、または400万円以下でも他の所得があった 
・生命保険の満期保険金や、個人年金を受け取っていた 
・年の途中で土地や建物の不動産、株式などを売却(譲渡)していた 

⑤ 「還付」を受けられるため申告すべきケース 

申告義務はなくても、準確定申告をすることで所得税の還付(払い戻し)を受けられるケースもあります。 

・年の途中で退職・死亡したため、会社の年末調整を受けていない(源泉徴収されすぎている) 
・多額の医療費(医療費控除)を支払っていた 
・ふるさと納税などの寄付金控除を受けられる 

なお、準確定申告で控除できる医療費は、「故人が死亡した日までに、実際に支払った金額」に限られます。
死亡後に遺族が支払った入院費などの医療費は、故人の準確定申告には含められません(ただし、生計を一にしていた遺族自身の確定申告で医療費控除の対象にできる場合があります)。 

⑥ 準確定申告の必要書類等 

原則として確定申告書に準確定申告用の付表を添付して税務署に提出します。
付表には、相続人全員の署名・捺印、マイナンバー、持分などを記載します。 

また、税金が発生した場合、原則として各相続人が法定相続分に応じて按分して納税します。
逆に還付金がある場合は、付表に相続人の銀行口座を記載して、税務署に振り込んでもらいます。 

6 遺産分割協議

 遺言書がない場合には、相続人全員で話し合いを行います。 

これを「遺産分割協議」といいます。 

(1)協議内容 

話し合う内容には主に次のようなものがあります。 

・誰が不動産を取得するか 
・預貯金をどう分けるか
・株式を誰が取得するか
・自動車の名義変更
・仏壇・祭祀財産 

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要になるため、一人でも反対すると成立しません。 

(2)感情的にならないことが重要 

相続は感情の問題が大きく影響します。 

特にこの遺産分割協議では相続人同士の感情が噴出することが多々あります。
例えば、「介護した人が多く受け取るべき」、「長男だから多くもらうべき」、「生前に援助を受けていた」などです。 

法律だけでは解決できないことも多いため、冷静な話し合いが大切です。 

(3)遺産分割協議書の作成 

相続人の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。 

遺産分割協議書には特に決まった書式はありませんが、具体的に各相続人がどの財産取得・債務継承をするかを記載します。 

また、全員が署名し、実印を押印し、一般的に印鑑証明書も添付します。 

遺産分割協議書は、不動産の名義変更、預金の解約、相続税申告など様々な場面で必要になります。 

7 財産の名義変更・解約手続き 

遺産分割協議が成立したら、金融機関や法務局への具体的な相続手続きに移ります。 

(1)預貯金の解約・名義変更 

一般的に必要となる書類は、 

・遺産分割協議書 
・故人の戸籍謄本(除票)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人本人確認書類
・通帳・キャッシュカード 

などです。 

金融機関によって必要書類が異なるため、必ず事前に確認しましょう。 

最近では相続専用窓口を設けている銀行も増えています。 

(2)有価証券(株式・投資信託)の解約・名義変更 

証券会社の口座も相続手続きが必要です。 

口座はそのまま相続人へ移るわけではありません。 

そのため、一旦相続手続きを行い、次の2つから選択して手続きを進めます。 

・相続人の証券口座へ移管 
・売却して現金化 

(3)不動産の名義変更(相続登記) 

令和6年4月から相続登記が義務化されました。 

相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。 

正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。放置せず、早めに法務局へ手続きを依頼しましょう。 

登記に際して必要書類は、 

・登記申請書 
・戸籍謄本 
・遺産分割協議書 
・固定資産評価証明書 

などがあります。 

なお、手続きに不安な人は、早めに司法書士へ相談しておくと安心です。 

8 まとめ 

四十九日法要を終えると、精神的には一段落したように感じますが、相続手続きはここからが本番です。 

財産や負債の調査、遺産分割協議、預貯金や不動産などの名義変更、準確定申告など、重要な手続きが続きます。 

特に、相続放棄の期限は原則3か月以内、準確定申告は4か月以内と期限が限られているため、計画的に進めることが欠かせません。 

また、手続きを一人で抱え込まず、相続人同士で十分に話し合い、必要に応じて税理士や司法書士、弁護士などの専門家の力を借りることも大切です。 

焦らず一つひとつ確実に手続きを進めることで、後々のトラブルを防ぎ、故人の大切な財産を円滑に引き継ぐことができるでしょう。