親が亡くなりました。最初に何をしないといけませんか?(相続手続き①)

親が亡くなると、深い悲しみの中でも短期間で多くの手続きや判断を行わなければなりません。
特に死亡直後から葬儀・初七日の法要までの期間は、精神的な負担が大きい一方で、役所への届出、葬儀の準備、親族への連絡など、重要な対応が集中します。
さらに、この時期の対応は、その後の相続手続きにも大きく影響します。
そこで本コラムでは、親が亡くなった直後から、葬儀・初七日法要までに行うべきことや注意すべきことについて、わかりやすく解説します。
目次
1 死亡直後に最初に行うこと
死亡直後の最初の1週間は、速やかに行わなければならない手続きが集中します。
ここでつまずくと、葬儀そのものが進められなくなる場合もあるため、優先順位を意識しながら対応することが大切です。
(1)死亡診断書(死体検案書)の取得とコピー
病院で亡くなった場合には、医師が死亡確認を行い、「死亡診断書」を発行します。
一方、自宅で突然亡くなった場合や事故死などでは、警察や監察医による確認が必要となり、「死体検案書」が発行されます。
この書類は、死亡を公的に証明する極めて重要な書類です。
しかし、原本は役所へ提出すると返却されません。
そのため、受け取ったらすぐにコピーを5〜10枚程度取っておくことが重要です。
後日、さまざまな手続きで必要になります。
【主な使用場面】
・死亡届の提出
・火葬許可申請
・年金停止手続き
・生命保険金請求
・銀行口座の解約
・相続手続き
・不動産名義変更
特に金融機関や保険会社ではコピーの提出を求められることが多いため、早めに準備しておくと後の負担を軽減できます。
(2)親族・関係者への連絡
死亡確認後は、まず近親者へ連絡を行います。
その後、必要に応じて親戚、友人、勤務先、菩提寺などへ連絡を広げていきます。
特に菩提寺がある場合には、戒名や葬儀日程、読経の依頼などが必要になるため、できるだけ早めに相談することが重要です。
また、葬儀日程を決める際には、火葬場の空き状況や僧侶の予定も影響します。
最近では都市部を中心に火葬場が混雑するケースも多く、希望日に火葬できないことも珍しくありません。
そのため、家族だけで決めず、葬儀社とも連携しながら進めることが大切です。
(3)葬儀社への連絡と遺体の搬送
病院では長時間ご遺体を安置できないことが多いため、まずは葬儀社へ連絡し、ご遺体の搬送を依頼する必要があります。
死亡直後は精神的な負担も大きく、慌ただしい中で冷静に判断するのが難しい場面も少なくありません。
しかし、葬儀費用は通夜・告別式の費用だけでなく、火葬費用、飲食費、返礼品代、安置費用なども含まれるため、全体では高額になりやすい傾向があります。
そのため、可能であれば複数の葬儀社から見積もりを取り、内容や費用を比較しながら慎重に選ぶことが大切です。
また、以下の点は特に確認しておきましょう。
【確認したい主な項目】
・基本プランに含まれる内容
・追加料金の有無
・安置日数による費用増加
・火葬場利用料
・返礼品や料理代
・僧侶へのお布施が含まれるか
「一式」という表現だけでは内容が分からない場合も多いため、細かな内訳まで確認することが重要です。
(4)死亡届の提出と火葬許可証の取得
法律上、死亡を知った日から7日以内に、死亡地・本籍地・届出人所在地のいずれかの役所へ「死亡届」を提出しなければなりません。
ただし、実際には火葬の予約に必要となるため、多くの場合は亡くなった当日〜翌々日には提出します。
死亡届を提出すると、「火葬許可証」が発行されます。
この書類がなければ火葬を行うことができません。
なお、最近では葬儀社が役所への提出を代行してくれるケースが一般的です。
精神的負担を軽減するためにも、利用できるサービスは積極的に活用するとよいでしょう。
(5)葬儀費用をしっかり記録・保管すること
葬儀後は慌ただしくなりますが、葬儀費用の領収書や支払記録は必ず整理・保管しておくことが重要です。
葬儀に関する支出は、後の相続手続きや税務申告において重要になる場合があります。
特に相続税申告では、一定の葬式費用を相続財産から差し引くことができます。
【相続税上、控除対象となる代表例】
・通夜・告別式費用
・火葬費用
・遺体搬送費
・僧侶への読経料やお布施
・会葬御礼費用
一方で、香典返しや初七日後の会食費用などは対象外となります。
そのため、「誰に」、「何のために」、「いくら支払ったか」を分かるように整理しておくことが重要です。特に現金払いでは記録が残りにくいため、封筒にメモを入れる、一覧表を作るなどしておくと後で非常に助かります。
また、葬儀費用を誰が立て替えたのかも重要です。
相続人の一人が立て替えている場合、後で精算トラブルになることもあります。
「誰が何を支払ったか」を家族間で共有しておくことが大切です。
(6)火葬と「埋葬許可証」の保管
葬儀・告別式後、火葬場で火葬を行う際に「火葬許可証」を提出します。
火葬後、書類には「火葬済」の印が押されて返却されます。
これが「埋葬許可証」です。
将来、お墓や納骨堂へ納骨する際に必要になる重要書類です。
しかし、紛失するケースが非常に多く、再発行には手間がかかります。
一般的には、骨壺を納める桐箱の白い布袋の中に、お骨と一緒に保管しておく方法が安全です。
2 遺言書の捜索・確認
親族が亡くなった後は、遺言書の有無を早めに確認することが重要です。
遺言書があるかどうかで、その後の相続手続きの進め方が大きく変わります。
(1)主な確認場所
遺言書は以下のような場所に保管されていることがあります。
・自宅の金庫
・仏壇
・机の引き出し
・貸金庫
・法務局
・公証役場
最近では、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用しているケースも増えています。
(2)自筆証書遺言は勝手に開封しない
故人が手書きした「自筆証書遺言」が見つかった場合には、勝手に開封してはいけません。
家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になるためです。
これは遺言書の偽造や変造を防ぐための制度です。
封印された遺言書を勝手に開封すると、過料を科される可能性があります。
一方、公証役場で作成された「公正証書遺言」は検認不要です。
そのため、比較的スムーズに相続手続きを進めることができます。
3 死亡後の1週間で特に注意したいこと
親族が亡くなった直後は、精神的な負担が大きい中で多くの対応を進めなければなりません。
特に死亡後1週間ほどの間の行動によっては、後々、親族間のトラブルや相続問題につながることもあるため注意が必要です。
(1)香典・香典帳をきちんと管理する
通夜や葬儀では、多くの方から香典をいただきます。
香典は、後日の香典返しや会計管理にも関係するため、「誰から、いくらいただいたか」を香典帳に正確に記録しておくことが大切です。
最近では、葬儀社が香典管理をサポートしてくれるケースもありますが、最終的には家族でも内容を確認するようにしましょう。
特に、高齢の親族が管理している場合には、記入漏れや金額の誤記が起きることもあります。
香典返しの漏れは、後々の人間関係のトラブルにつながることもあるため、早い段階でしっかり整理しておくことが重要です。
(2)故人名義の銀行口座を安易に使わない
銀行は、口座名義人が亡くなったことを把握すると、その口座を凍結します。
凍結後は、原則として自由に預金を引き出すことができなくなります。
そのため、「凍結される前に引き出しておこう」と考える方もいますが、安易な出金は後の相続トラブルにつながる可能性があります。
特定の相続人だけが預金を引き出して使ってしまうと、他の相続人から不信感を持たれ、争いの原因になることがあるためです。
また、多額の引き出しについては、後で「何に使ったのか」を説明しなければならないケースもあります。
葬儀費用など、やむを得ず支払いをする場合には、領収書や支払記録を必ず残しておくことが大切です。
4 まとめ
親が亡くなった直後から葬儀・初七日までは、精神的な負担が大きい中で、多くの重要な手続きや判断を行わなければなりません。
死亡診断書の取得、死亡届の提出、火葬許可証の取得、葬儀社との打ち合わせ、親族対応など、短期間で対応すべきことが集中します。
また、この時期の対応は、その後の相続手続きにも大きく影響します。
特に、葬儀費用の記録・領収書の保管、遺言書の確認、財産資料の整理などは、後の相続トラブル防止にもつながる重要なポイントです。
悲しみの中ではありますが、「後で困らないための準備」を少しずつ進めることが大切です。
必要に応じて、葬儀社、税理士、司法書士、弁護士などの専門家にも相談しながら、無理のない形で進めていきましょう。
