インデックス投資が個人投資家に向いている理由

「投資を始めてみたいけれど、何を選べばいいのかわからない」 
これは、多くの個人投資家が抱く最初の悩みではないでしょうか。 

証券会社のサイトを開けば、株式、投資信託、ETF、債券、REITなど、さまざまな商品が並んでいます。
その中から自分に合うものを見つけるのは簡単ではありません。 

そんなときに、投資の世界で広く支持されている方法のひとつに「インデックス投資」があります。 

このコラムでは、インデックス投資がなぜ個人投資家にとって適しているのかを、具体的な理由とともに解説していきます。 

1 インデックス投資の定義 

まずは、インデックス投資の基本を押さえておきましょう。 

インデックスとは「指数」のことを指します。
たとえば、日本株であれば日経平均株価やTOPIX、アメリカ株であればS&P500やダウ平均株価などが代表的です。
これらは株式市場全体や特定のセクターの動きを示すものであり、投資家にとっては「市場の平均点」を測る物差しのような存在です。 

インデックス投資は、この市場平均に連動するように設計された金融商品を購入・保有することで、長期的に市場全体の成長を享受しようとする投資方法です。

アクティブ運用のように「市場平均を上回る成果を目指す」のではなく、「市場平均に乗っかる」スタイルといえます。 

個別銘柄の分析や頻繁な売買を行う必要がなく、分散効果も自動的に得られるため、多くの個人投資家に支持されています。 

2 インデックス投資がおすすめの理由

(1)インデックスは情報量・経験値が高いプロの平均値 

 株式市場では、機関投資家やファンドマネージャーといったプロが膨大な情報と経験を武器に日々取引しています。
個人投資家がそのプロたちを出し抜こうとするのは、現実的にかなり難しいのが実情です。 

しかし、インデックスは「そうしたプロたちの平均値」とも言えます。
つまり、特定の誰かを打ち負かすのではなく、マーケット全体の成績に乗るのです。
平均点を取ることが「賢い選択」になるというのが、インデックス投資の強みです。 

(2)短期的にはランダムウォーク・長期的には右肩上がり

 株価の短期的な動きは、ほとんど予測できない「ランダムウォーク」であると言われています。
ニュースや経済指標に一喜一憂しても、数日後の株価を正確に言い当てることは困難です。 

一方で、過去のデータを見れば、株式市場は短期的に上下を繰り返しながらも、長期的には成長を続けてきました。
これは企業活動や経済の拡大に裏打ちされた動きです。 

インデックス投資は「短期予測は難しい」という前提を受け入れ、「長期的な右肩上がりのトレンド」に着実に乗ることを目的としています。
だからこそ、投資家は無理に相場を読む必要がなく、精神的にも楽に続けられるのです。 

(3)個別銘柄の入れ替えが不要 

個別株投資では、定期的に「この会社は成長するのか?」、「今の業績で株価は割安か?」と分析し、保有銘柄を入れ替えていく必要があります。
これはかなりの労力がかかり、知識や経験も求められます。 

一方、インデックス投資では指数に組み込まれる銘柄が、一定のルールのもとに自動的に入れ替わる仕組みがあるため、自分で銘柄選定をしなくても市場の成長に追随できます。 

投資初心者であっても、「ほったらかしで成長を享受できる」投資スタイルなのです。 

(4)コントロールできるのはコストだけ 

投資で確実にコントロールできる要素は「コスト」だけです。
将来の株価や景気を完全に予測することはできませんが、投資信託やETFの運用コストは選ぶ段階で決まります。 

インデックスファンドは一般的にアクティブファンドより信託報酬が低く、手数料負担も少ないのが魅力です。
長期運用では、コストの差が複利効果によって大きな違いを生むため、低コストは大きな武器となります。 

(5)定期的な収入がある人には積立投資に向いている 

会社員など、定期的な収入がある人にとっては、毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」との相性が抜群です。
高値のときには少ししか買えず、安値のときには多く買えるため、長期的に平均購入単価を下げる効果があります。 

インデックス投資は値動きの激しさを気にせず、着実に積立を続けることで資産を大きく育てていけるのです。 

3 インデックス投資での注意点 

インデックス投資はシンプルで合理的な方法ですが、「これさえやれば完璧」というものではありません。
いくつか気をつけておくべきポイントがありますのでご紹介します。 

(1)短期的なリターンを過度に期待しない 

インデックス投資は基本的に「長期戦」です。1年や2年で大きな利益を出す投資法ではなく、10年、20年と時間をかけて少しずつ資産を育てるスタイルです。 

短期的にはマイナスになる時期も当然あります。
ですから「始めたばかりなのに成果が出ない」と焦らず、腰を据えて取り組むことが大切です。 

(2)投資対象のインデックスを理解する 

一口にインデックスといっても、日経平均株価、TOPIX、S&P500、全世界株式指数など、種類はさまざまです。
それぞれの指数で対象国や業種の割合が違います。 

たとえば、S&P500ならアメリカ企業中心、全世界株式なら先進国から新興国まで幅広い投資先になります。
自分がどこにお金を預けているのかを理解しておくことは、安心感にもつながります。 

(3)暴落時に動揺しない 

市場は必ず上下を繰り返します。
リーマンショックやコロナショックのような大暴落が起こると、資産が一時的に大きく減ってしまうこともあります。
そこで「もうダメだ」と思って売却してしまうと、回復局面の利益を取り逃してしまう可能性が高いのです。
インデックス投資は「下がるときも含めて市場に居続ける」ことが成功の条件と言えます。 

(4)為替リスクに注意する 

外国株式のインデックスに投資する場合、株価の値動きだけでなく為替変動も影響します。
円高になれば投資額が目減りし、円安になれば資産が増えることもあります。
為替の動きは予測が難しいので、あらかじめリスクの存在を理解した上で投資することが重要です。 

(5)資産配分を忘れない 

インデックス投資は便利で低コストですが、だからといって「全財産を一つのインデックスファンドに投資する」のはリスクが偏ってしまう可能性があります。 

株式インデックスに加えて、債券や現金なども組み合わせ、自分のリスク許容度に合ったポートフォリオを作ることが大切です。
また、時間の経過とともに配分が崩れていくので、定期的にリバランスすることも忘れないようにしましょう。 

4 まとめ 

インデックス投資は「市場全体の波に乗る」シンプルで合理的な投資手法です。
プロの平均に近づけること、長期的な右肩上がりの成長を享受できること、銘柄選びや売買の手間が不要であること、低コストで運用できること、積立投資との相性が良いことなど、多くの理由から個人投資家に向いています。 

もちろん万能ではなく、暴落や為替リスクといった注意点もありますが、長期目線でコツコツ続ければ、資産形成の強力な味方となるでしょう。 

投資に迷ったときは「まずはインデックス投資から始めてみる」——これが多くの先輩投資家がすすめる王道の一歩なのです。