逆張り投資のコツってなんですか?

株式投資の世界には、大きく分けて「順張り」と「逆張り」という二つの代表的なスタイルがあります。

順張り投資は「上昇の波に乗る」手法、逆張り投資は「下がっているときにあえて買う」手法です。
どちらも一長一短があり、投資家の性格や目的によって向き、不向きが分かれます。 

このコラムでは、「逆張り投資」の基本や魅力、注意点、実践のコツについて、個人投資家の視点からわかりやすくご紹介していきます。 

1 逆張り投資とは 

「逆張り投資」とは、株価が大きく下がった局面で「そろそろ反発するだろう」と考えて買いを入れる投資スタイルです。
言い換えれば、「流れに逆らって動く」手法です。 

たとえば、ある企業の株価が、業績には大きな問題がないのに、市場全体の急落や一時的な悪材料で1,500円から1,200円まで下がったとします。
このとき「下がって怖いから売ろう」と考える人が多いですが、逆張り投資家は「本来の価値から見れば安い水準だ」と判断して買います。
そして株価が回復して1,400円になったときに売れば、利益を確保できるわけです。 

逆張り投資の考え方の背景には、「株価は行き過ぎる」という市場の性質があります。
人々の感情や一時的な過熱で、株価は実際の企業価値より高くなったり低くなったりします。
その「行き過ぎ」に着目して逆の行動をとるのが逆張り投資の基本です。 

2 逆張り投資の魅力 

他の投資家が売っているときにあえて買う。
あるいは、過熱して買いが集中しているときに冷静に売る。
こうした逆の動きが、長い目で見れば大きな利益につながることもあります。

ここでは、その具体的な魅力をご紹介していきます。 

(1)割安で仕込める可能性 

逆張り投資の最大の魅力といえば、やはり「割安で仕込める」点です。
株式市場では、必ずしも企業の本来の価値と株価が一致しているわけではありません。

ちょっとした悪材料や、市場全体の不安心理によって、大きく売られすぎる銘柄も出てきます。 

投資の格言に「安く買って高く売る」がありますが、逆張りはその基本を実践できる数少ない手法です。
本来の価値から見て明らかに安い水準で株を手に入れることができれば、その後の値戻しで大きな利益を得やすくなります。
まさに、投資の王道を地で行くスタイルといえるでしょう。 

(2)反発の利益を大きく取れる 

株価が下がり続けると、どこかで反発する局面がやってきます。
特に「売られすぎ」の状態から反発すると、その戻りは勢いが強いことも多いのです。 

たとえば、急落した銘柄に好材料が出たとき、市場は過剰に反応して短期間で大きく上がることがあります。こうした場面にうまく逆張りで仕込んでおけば、通常よりも効率的に利益を得ることが可能です。
もちろんタイミングを読むのは簡単ではありませんが、投資の醍醐味を実感できる瞬間でもあります。 

(3)心理的な逆を突く優位性 

投資家の多くは感情に左右されやすいものです。
株価が下がると「もっと下がるかもしれない」と恐怖に駆られて売ってしまい、逆に上がると「乗り遅れたくない」と焦って買ってしまいます。 

逆張り投資は、その心理の裏を突く戦略です。
他の投資家が恐怖で手放した株を、冷静に安値で拾えるのは大きな強みです。
結果的に、同じ銘柄を他の人よりも有利な価格で保有できることにつながります。
人間心理に逆らう行動は簡単ではありませんが、それができる投資家は市場で優位に立てる可能性が高まります。 

(4)長期投資との相性 

逆張り投資は短期的な利益狙いだけではありません。
成長性のある企業の株が一時的に売られて割安になっているときに買い、じっくりと長期で持つという使い方もできます。 

「いい企業の株を安く仕込んで長く持つ」──これは長期投資の理想的な形ですが、実際にはなかなか安値で買えるタイミングは多くありません。
そこで逆張りを活用することで、そうした仕込みのチャンスを広げることができるのです。
長期的な視点を持つ投資家にとって、逆張りは心強い味方になり得ます。 

(5)市場の過熱感を避けられる 

ここで、もう一つ見逃せない魅力があります。
それは「市場の過熱感を避けられる」という点です。 

多くの投資家が一斉に買いに走っているとき、つい自分も飛び乗りたくなるものです。
しかし、その時点で株価はすでに高値圏にあり、リスクのほうが大きくなっていることも少なくありません。
逆張りの考え方を取り入れていれば、「今はみんなが買っているけど、むしろ注意すべき時期かもしれない」と冷静に判断できます。 

つまり、逆張りは、単に安値を狙うだけでなく、「高値づかみ」を避けるリスク管理の役割も果たしてくれるのです。
これは資産を守るうえでとても大切な視点だといえるでしょう。 

3 逆張り投資の注意点 

逆張り投資は、株価が下がっているときにあえて買いに動くというスタイルで、うまくハマれば大きな利益を狙える魅力があります。 

しかし、当然ながらリスクもついて回ります。
単に「安いから買う」という判断が誤った結果につながりやすいので、注意すべき点をあらかじめ理解しておくことが大切です。 

(1)「落ちるナイフ」をつかむリスク 

株価が下がっているとき、「そろそろ反発するだろう」と思って飛びつきたくなるものです。
しかし、下がっている株が必ずすぐに上がるわけではありません。
むしろ、その後もさらに下落が続き、気づいたら大きな含み損を抱えてしまうケースもあります。 

これを投資の世界では「落ちるナイフをつかむ」と呼びます。
ナイフが落ちている途中で手を出せばケガをするのと同じで、下落が止まらない局面での逆張りは危険です。 

(2)反発までの時間が読めない 

「安いところで買えた!」と思っても、その株がいつ反発するかは誰にもわかりません。
数日で戻る場合もあれば、数か月、場合によっては数年かかることだってあります。 

その間、資金はその銘柄に固定されてしまい、ほかの投資チャンスを逃す可能性もあります。
これがいわゆる「塩漬けリスク」です。 

(3)業績悪化株は危険

 「株価が安い=割安」とは限らないのが難しいところです。
株が大きく下がる理由はさまざまですが、その中には企業の本業がうまくいかなくなっている「業績悪化」が原因のケースもあります。 

たとえば、売上や利益が大幅に落ち込んでいる、あるいは将来の成長が期待できないと市場に判断されている銘柄は、いくら株価が下がっても簡単には戻りません。
むしろ下落が続く可能性すらあります。 

(4)市場全体の弱気相場では通用しにくい 

逆張り投資は、個別銘柄の下落に対して仕掛ける手法ですが、そもそも市場全体が大きく下げているときにはその効果が薄れてしまうことがあります。 

リーマンショックやパンデミックのような大規模な下落局面では、企業の実力に関係なくほとんどの株が売られます。
こうした「全面安」の状態では、安値に見えてもさらに下がり続けるリスクがあるのです。 

(5)資金管理の難しさ 

もう一つ忘れてはいけないのが「資金管理の難しさ」です。
逆張りはどうしても下落局面で仕掛けるため、買い進めた後にさらに株価が下がることも少なくありません。その場合、「ナンピン買い」で平均取得価格を下げるという方法もありますが、やりすぎれば資金を使い切ってしまい、身動きが取れなくなります。 

4 上手な逆張り投資方法 

逆張り投資は、勇気が必要な手法ですが、冷静な判断とルールを持って臨めば、大きなリターンにつながる可能性があります。
ただし、やみくもに安値を拾うのは危険です。ここでは、逆張り投資を上手に実践するためのポイントをご紹介します。 

(1)「なぜ下がっているのか」を見極める 

まず大切なのは、株価が下がっている理由を正しく理解することです。 

業績に問題がなく、一時的なニュースや市況の影響で下落しているだけならチャンスとなり得ます。
しかし、構造的な赤字や成長力の低下が原因で株価が下がっている場合、そのまま持ち続けても値を戻さないリスクが高いのです。 

「安いからお得」と思い込みやすいのが逆張りの落とし穴です。
財務諸表や業績予想など、企業の基礎体力=ファンダメンタルを確認し、「安い理由」をしっかり理解することが第一歩です。 

(2)下げ止まりの兆しを確認する 

株価が下がっているときに「今が買い時だ」と思っても、実際にはまだ下落途中であることも多々あります。そこで重要なのが「下げ止まりのサイン」を確認することです。 

チャートの動きや出来高の増減、企業の新しいニュースなどを観察し、反発の兆しが出てから動くほうが安全です。焦って飛びつくのではなく、少し待つくらいの余裕が成功のカギになります。 

逆張りはスピード感も必要ですが、慌てて仕掛けるのではなく「冷静に底を探る姿勢」を持つことが重要です。 

(3)余裕資金で取り組む 

逆張り投資は、いつ反発するかが読みにくいため、買った株が長期間値を戻さずに「塩漬け」状態になることもあります。
その間は資金が動かせなくなるため、余裕資金で取り組むことが必須です。 

「多少寝かせても問題ない」という感覚を持っておくことで、精神的にも安定します。
短期の利益を焦って狙うのではなく、長期戦になる可能性も見据えて資金を投じる姿勢が大切です。 

(4)資金配分と買い方のルールを決める 

逆張り投資は、資金の使い方次第で成功率が大きく変わります。
「一度に全額買う」のではなく、「分散して段階的に買い下がる」ことが基本です。 

こうすることで、平均取得単価を下げやすくなり、反発したときの利益も大きくなります。
また、分散して買うにしても「資金のどこまでを使うか」というルールを明確にしておくことが重要です。
資金の余力を残しておけば、想定外の下落にも対応できますし、ほかの投資チャンスを逃さずに済みます。 

つまり、逆張り投資では「買うタイミング」だけでなく、「資金管理」そのものが成功の分かれ目になるのです。 

(5)損切りラインを明確にする 

逆張り投資は、失敗すると損失が膨らみやすいという特徴があります。
だからこそ、「ここまで下がったら売る」という損切り基準を事前に決めておくことが大切です。 

感情に任せて「もう少し待てば戻るかも」と判断を先延ばしにすると、気づいたときには大きなダメージを受けてしまうことも少なくありません。
冷静に撤退できる基準を持ち、ルールに従って実行することが、長く投資を続けるための必須条件です。 

(6)市場全体の流れを読む 

最後に忘れてはいけないのが「市場全体の雰囲気」を確認することです。 

リーマンショックや新型コロナウイルス流行のような全面的な弱気相場では、個別銘柄の逆張りを仕掛けてもさらに値下がりすることが多く、成功しにくいのです。
相場全体が大きく下落しているときは無理に動かず、むしろ資金を守ることを優先するほうが賢明です。 

このような場合は、市場が落ち着きを取り戻した段階で改めて逆張りを検討するといった、慎重な姿勢こそが、長期的に成果を上げる秘訣といえるでしょう。 

5 まとめ 

逆張り投資は、株価が下がっている局面であえて買いを入れる「勇気のいる投資法」です。
しかしその分、うまくはまれば大きな利益につながります。 

魅力は、割安で仕込めること、反発の利益を狙えること、そして心理的な逆を突くことで有利に立てること。一方で「落ちるナイフ」をつかんだり、戻らない銘柄を抱えたりするリスクもあります。 

大切なのは、冷静な分析とルール作りです。ファンダメンタルズを見極め、分散投資や損切りを徹底することで、逆張りは強力な武器になります。 

投資に絶対の正解はありませんが、自分の性格やスタイルに合う手法を選ぶことが成功の近道です。
もし「人と逆の動きを取ることに魅力を感じる」「安値で仕込むチャンスを探したい」と思うなら、逆張り投資を戦略のひとつとして取り入れてみるのもよいでしょう。 

相場の波は常に行き過ぎるもの。
だからこそ、その行き過ぎを味方にする逆張り投資には、他にはない魅力があるのです。