投資と投機って何が違うの?
資産運用に関連して、「投資」と「投機」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
「投資」は、株式や不動産などでよく使われる言葉で、多くの人に馴染みがあるでしょう。
一方で、「投機」という言葉に関しては、プロが市場で大きな値動きを引き起こすといった、ネガティブなイメージを持っている方も少なくないかもしれません。
また、「投資」と「投機」の違いがよくわからない、という方も多いようです。
実は、この2つの言葉の意味をしっかり理解することは、資産運用を考える上でとても重要です。運用の方法や注意点がより明確になります。
まずは、この2つの言葉を通して、資産運用の方法について考えてみましょう。
投資と投機とは?
投資とは、一般的に中長期的な視点でリスクを抑えつつ、資産を増やすことを目指す行動です。企業の成長によって得られる値上がり益や配当金などを期待します。
投機とは、一般的に短期間で大きな利益を得ることを目的に、タイミングを計りながら、資産を頻繁に売買する行動です。価格の短期的な変動を利用して利益を得ようとします。
このように、投資と投機はどちらも資産運用の方法ですが、運用の期間や目的が異なります。次に、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
投資のメリットとデメリット
メリット
1 複利効果で資産が増えやすい
長期的に投資を続けることで、配当金や分配金などを再投資でき、複利の力で資産を増やすことが期待できます。
投資期間が長いほど複利効果が高くなるので、早期に投資を始めたほうが望ましいです。
2 リスクを抑えて資産形成ができる
金融商品の種類、投資地域、購入タイミングなどを分散することで、大きな損失のリスクを抑えながら資産を増やすことができます。
3 初心者でも始めやすい
自動積立設定を利用すれば、タイミングや値動きなどを気にせずに自動的に投資信託などに投資が可能です。これにより、投資初心者や忙しい人でも無理なく資産運用ができます。
デメリット
1 短期間では利益を得にくい
投資は、企業などの投資対象が長期的に成長することに期待して行うため、短期的な利益を得ることは難しいです。
2 将来の予測が難しい
将来の世界情勢や経済状況を正確に予測するのは難しいため、現在の投資対象が将来どうなるかは不確実です。
投機のメリットとデメリット
メリット
1 短期間で大きな利益が期待できる
資産の値動きが予想通りに動けば、短期間で大きな利益を得ることが可能です。
特にレバレッジ取引を活用すれば、元手の数倍の取引ができ、大きな利益を狙えます。
2 損失を一定範囲内に抑えることができる
投機は予想と違った値動きをした場合に、大きな損失を被る可能性があります。
この際は、値動きに応じて適切な損切りをすることができれば、損失を一定範囲内に抑えることができます。
デメリット
1 大きな損失を被るリスクがある
投機対象の資産は一般的に値動きが激しく、そのうえ信用取引などのレバレッジ取引で元手の資金の数倍の取り引きをしている場合に、値動きの予想が外れると大きな損失を被る可能性があります。
2 手数料が高くなる
投機の取り引きは短期間・短時間で何度も売買をすることが多いため、売買手数料が積み重なり多額になります。
この手数料が差し引かれるため、利益が圧縮されてしまいます。
3 精神的な負担が大きい
市場の動きを常に気にしながら取引を行うため、精神的なプレッシャーが大きく、疲労を感じやすくなります。
投機をする場合は、常に市場の動きを気にしながら、売買のタイミングを計っている必要があります。
特に、利益と損失が行き来したり、損失が膨らんで損切りのタイミングを考えている時には、少しのミスが命取りになりかねないため、相当の緊張状態になり、精神的なプレッシャーが大きくなります。
このように、「投資」と「投機」にはそれぞれ異なる特徴があります。自分に合った方法を選び、無理なく資産運用を進めることが大切です。
次に、それぞれの方法がどのような人に向いているかを考えてみましょう。
投資に向いている人
1 将来の資産を計画的に増やしたい人
投資は、老後の資金など将来必要になるお金を準備するのに適しています。リスクを抑えつつ、長期的に資産を増やすことができます。
2 投資初心者や忙しい人
投資は、値動きやタイミングで売買しないので、一般的に売買頻度は少ないです。
また、一定のルールで定期的に購入することができるので難しい判断も必要なく、投資知識の少ない初心者でも無理なく始められます。
また、リアルタイムで値動きを追う必要がないので、仕事などで忙しく人も向いていると思います。
3 値動きが安定した金融商品を好む人
投資信託のように、投資先が分散されている商品は、長期的に成長を目指すものが多く、値動きが比較的穏やかです。
大きな価格変動が苦手な人には、こうした商品が向いています。
投機に向いている人
1 短期間で利益を得たい人
投機は、うまくいけば短期間で利益を得ることができますが、大きな損失を被る可能性があります。
すぐにお金が必要な場合には適しているかもしれません。
2 投資経験が豊富な人
投機では、市場の動きを見極める力が必要です。投資の知識や経験が豊富で、相場の流れや値動きなどに敏感に対応できる人でないと、利益を上げるのは難しいでしょう。
3 時間に余裕がある人
投機は、市場が開いている間、常に価格の動きをチェックする必要があります。したがって、時間に余裕がある人に向いています。
仕事中などに片手間で行うのは、成功する確率が低いと思います。
4 緊張感に強い人
投機では、ミスが大きな損失につながることがあります。そのため、プレッシャーの中でも冷静に判断できる人に適しています。
ここまで投資と投機について見てきましたが、基本的にはリスクを抑えて長期的に資産を増やすことが推奨されます。
しかし、投機が自分に合っていると感じる人もいるでしょう。そうした場合は、投資で長期的な資産形成をしつつ、余裕資金の範囲内で投機を行うことをおすすめします。
その際は、必ずルールを決め、それを守ることで、大きな損失を避けるよう注意してください。