リスク許容度って何?
資産運用でよく使われる言葉のひとつに「リスク許容度」があります。
「自分のリスク許容度に合った投資商品を選びましょう」と聞くことが多いと思いますが、リスク許容度が何となくしかわからない、あるいは今の投資方法が自分に合っているか自信がないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、まず「リスク許容度」について理解を深め、自分に合った投資方法を見つけてみましょう。
- リスク許容度とは?
「リスク」とは、投資の結果が予測できないこと、つまり、値上がりや値下がりの幅がどれくらい大きいかを指します。
リスクが高い投資商品は、値上がりしたときには大きく利益が出る一方で、値下がりしたときには大きな損失を出す可能性があります。
「リスク許容度」とは、自分がどれだけのリスクを受け入れられるかを意味します。
具体的には、投資が値下がりしたときにどれくらいの損失に耐えられるかということです。
リスク許容度は人によって異なり、投資経験を積むことで高くなることもあります。
例えば、株式投資を始めたばかりで、値動きが気になって仕事が手につかなかったり、夜も眠れないような状態であれば、それは自分のリスク許容度を超えている可能性が高いです。
このような場合は、投資方法を見直してリスクを減らす必要があります。 - 自分のリスク許容度を見つけるポイント
リスク許容度を判断するには、いくつかの要素を総合的に考える必要があります。
以下のポイントを参考に、自分のリスク許容度を「低・中・高」のどれに当てはまるか考えてみましょう。
(1)年齢・投資期間
若い人は、長い期間にわたって投資を続けられるため、短期的な値動きに左右されにくくなります。
長期的に投資を続けることで、リスクを取っても回復する時間があるため、リスク許容度が高くなります。
(2)収入水準
収入が高い人やこれから増える見込みがある人は、余裕資金がすでに多いまたはこれから増える傾向にあります。
余裕資金が多いことは、投資に回せる資金が多くすることができます。
仮に、一時的に保有している資産の価格が下落したとしても、その資産を売却しなくても生活できますし、逆に追加購入して購入単価を下げることもできます。
このため、リスクを取る余裕があり、リスク許容度が高くなります。
(3)保有資産額
資産を多く持っている人は、一時的な資産が下落した場合でも、生活に支障が出にくいので、余裕を持って資産運用をすることができます。
このため、リスク許容度が高くなります。
(4)性格
値下がりしても冷静でいられるかどうかは人それぞれです。
自分がどの程度の値動きに耐えられるか、冷静に考えてみましょう。
値下がり時でもドキドキしたりせずに冷静に行動できる人は、リスク許容度が高いと言えます。
(5)投資の知識・経験
投資に関する知識・経験の量が、リスク許容度を決める最も大きな要素であると思います。
本などからの情報で知識を蓄え、それを実践して失敗と成功を繰り返しながら投資経験を増やしていきます。
それによって、値下がりに対して、体力が付き、免疫が備わっていき、リスク許容度が高くなります。
自分のリスク許容度を知るための目安
このように書いてきましたが、ご自分がどの程度のリスク許容度かわからない人も多いと思います。
そこで、1つの目安として以下の分類を参考に考えていただくといいと思います。
これは私の主観ですので、あくまでも参考程度でお願いします。
1 リスク許容度が低い人
•元本割れするのではないか気になって仕方ない
•少しでも元本割れするとすぐに売却したくなる
•利息は低くても預貯金などの安全な商品が安心できる
2 リスク許容度が中程度の人
•投資に興味があり、知識と蓄え始めている
•資産が増えるのは嬉しいが、価格が乱高下するとチャートから目が離せなくなる
•資産が10%くらい下落しても、積立投資を続けることができる
3 リスク許容度が高い人
•投資の勉強を続けてこれからもスキルを伸ばしたい
•市場の動きを俯瞰的に見ていることができる
•資産が1日で5%下がったり、1週間で10%下がったりしても冷静に対処できる
【リスク許容度別の投資方法】
ここでは、リスク許容度を3つに分けて、それぞれどのように投資を進めると良いか考えてみましょう。
自分のリスク許容度がどこに当てはまるかを考えながら読んでみてください。
- リスク許容度が低い人
投資初心者の方は、まだ元本割れ(投資したお金が減ること)を経験したことがないと思います。
頭では、投資には元本割れのリスクがあることや、長期的に投資を続けることで複利効果を得られる可能性があることを理解していても、実際に損失が出ると不安になるものです。
投資で成功するためには、知識と経験が必要です。
たとえば、100万円の余裕資金がある場合、まずは毎月1万円を全世界株式の投資信託に積み立てることから始めてみてはいかがでしょうか?
仮に投資を始めてから3か月目に10%の暴落があったとしても、3,000円の損失で済みます。
30,000円を投資したのに27,000円になるのはショックかもしれませんが、まだ97万円が手元にあります。大きな金額を一度に投資する場合と比べると、損失は少ないです。
また、積立投資を続けると、価格が下がった時に多くの投資信託を購入することができるため、その後価格が上がればより多くの利益を得ることができます。
その他のメリットとして、少しずつではありますが、世界経済や市場の動きについての知識も身につきます。
こうしていくうちに、リスク許容度も少しずつ高まっていくでしょう。その時に積立額を増やすのも一つの方法です。
この方法なら、大きな損失を避けながら、投資の知識と経験を積むことができます。
- リスク許容度が中程度の人
投資には大いに興味があるが、投資の知識・経験がまだ少し不十分、これからの伸びしろがある方だと思います。
この方に必要なのは、積立投資以外の投資を経験することです。
積立額を増やすことに加えて、日経平均株価やTOPIXに連動するETF(上場投資信託)を購入するのも良いでしょう。ETFのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
(1)情報を得やすい指標に基づいているため、値動きが理解しやすい。
(2)複数の銘柄に分散投資ができるため、個別株よりも値動きが穏やかである。
(3)投資信託とは異なり、取引所が開いている時間ならいつでも売買できるため、相場での取引に慣れることができる。
(4)購入金額が比較的安いため、少額から何度かに分けて購入することができる。
これらのETFは、安定した値上がりと年間2%程度の配当を見込むことができるため、中長期的な保有が望ましいです。
ただし、一喜一憂して投資額を増やしすぎないように注意してください。
ETFも値動きがあり、時には大きく変動することもあります。頻繁に売買したくなるかもしれませんが、短期的な判断で売買を繰り返すと、手数料がかさみ、投資効率が悪くなります。
資金に余裕を持ちながら、少しずつ購入を進め、基本的には売却しないことが賢明です。
- リスク許容度が高い人
このカテゴリーに当てはまる方は、投資の知識や経験が十分にある方でしょう。
しかし、資産運用の方法は多岐にわたるため、自分に合った方法がまだ見つかっていない方もいるかもしれません。
投資する地域をどう選ぶか、成長株、割安株、高配当株のどれに投資するかなど、投資の方法や戦略は数え切れないほどあります。
自分に合った投資方法を見つけるためには、実際に試してみるしかありません。
いろいろな投資方法を少額で試してみて、銘柄の値動きや売買のタイミングなどから、自分に合う運用方法を見極めると良いでしょう。
経験豊富な投資家も、さまざまな投資方法を試して小さな失敗を重ねながら、自分に合った方法を見つけて長期的に成功しています。
自分に合う投資方法を見つけるのには時間がかかるかもしれませんが、焦らず冷静に取り組んでいくことが大切です。
投資の世界では、失敗も経験の一部です。自分に合った投資スタイルを見つけるために、小さなステップから始めてみましょう。