リスク・リターンって何だろう?
資産運用や投資を始めるときに、よく耳にするのが「リスク」と「リターン」という言葉です。
これらの言葉は、投資において非常に重要な概念であり、それぞれの意味を正しく理解することが、成功するための第一歩です。
ここでは、投資初心者にもわかりやすく「リスク」と「リターン」について説明していきます。
リターンとは何か?
まず、「リターン」についてです。「リターン」とは、投資から得られる成果、つまり利益や損失のことを指します。
投資をして得られるお金が増えることもあれば、減ることもありますが、そのすべてが「リターン」と呼ばれます。
リターンには大きく分けて2種類があります。
1.キャピタルゲイン・ロス
これは、金融商品を購入してから売却するまでの間に発生する価格の差から得られる利益または損失のことです。
例えば、100万円で買った株を150万円で売れば、50万円のキャピタルゲインが得られます。逆に80万円で売れば、20万円のキャピタルロスが発生します。
2. インカムゲイン
これは、投資している間に得られる利子や配当のことです。
例えば、株を持っているだけで企業から支払われる配当金や、債券の利息などがこれにあたります。
リターンは投資の成果を測るものであり、投資の目的は基本的にはこのリターンを得ることにあります。
しかし、リターンが大きいほど、その分リスクも大きくなることが多いです。ここで言う「リスク」とは何かを理解することが重要です。
リスクとは何か?
次に、「リスク」について説明します。
一般的な日常会話での「リスク」という言葉は、何か悪いことが起こる「危険性」を意味しますが、投資の世界では少し違う意味で使われます。
投資における「リスク」は、「価格や損益がどれだけ変動する可能性があるか」という、変動幅(ブレ幅)のことを指します。
つまり、投資のリスクとは「価格が上がるか下がるか分からない」という不確実性のことです。
価格が大きく上がることもあれば、大きく下がることもあります。
このように、価格がどれだけ変動するかという「ブレ幅」が大きいほど、その金融商品は「リスクが高い」と言われます。
ハイリスクの金融商品、例えば個別株式などは、成功すれば大きな利益を得ることができますが、失敗すれば大きな損失を被る可能性があります。
一方、ローリスクの金融商品、例えば国債などは、大きな利益は期待できませんが、損失を被るリスクも比較的少ないです。
リスクとリターンの関係
リスクとリターンの関係は非常に密接で、「リスクとリターンは表裏一体」とも言えます。
リスクが高い投資ほど、成功すれば得られるリターンも大きくなりますが、その分損失を被る可能性も高くなります。
逆に、リスクが低い投資は、大きな利益を期待できない代わりに、損失を被るリスクも少ないです。
自分がどれだけのリスクを取れるか、つまり「リスク許容度」を考えることが、投資を始める上で非常に重要です。
リスク許容度が高い人は、リスクの高い商品に多く投資し、リスク許容度が低い人は、リスクの低い商品に投資することになります。
投資におけるリスクの種類
投資にはさまざまなリスクがあります。
ここでは、一般的な6種類のリスクについて説明します。
1. 価格変動リスク:これは、金融商品の価格が上下するリスクです。例えば、株式市場が不安定な場合、株価が大きく変動することがあります。
2. 信用リスク:これは、企業や国が債務を履行できなくなるリスクです。例えば、企業が倒産すると、その企業の株式の価値はゼロになり、投資額が戻らないことがあります。
3. 流動性リスク:これは、売買したいときにすぐに売買できないリスクです。流動性が低い商品は、売りたいときにすぐ売れないことがあります。
4. 金利変動リスク:これは、金利の変動によって金融商品の価格が変動するリスクです。特に債券は、金利が上がると価格が下がり、金利が下がると価格が上がる傾向があります。
5. 為替変動リスク:これは、為替レートの変動によって外国通貨建ての金融商品の価格が変動するリスクです。例えば、ドル建ての資産を持っている場合、ドル円の為替レートが変動すると、その資産の価値も変動します。
6. カントリーリスク(地政学リスク):これは、投資先の国や地域の政治的・経済的な情勢の変化によって、金融商品の価格が変動するリスクです。特に、政治が不安定な国の国債などは、このリスクが高くなります。
投資をするときには、さまざまなリスクがあります。
特に株式などは価格の変動が大きく、場合によっては大きく下がることもあります。
このため、リスクを恐れて安全性の高いローリスク・ローリターンの商品ばかりを選ぶと、資産を増やすことが難しくなります。
では、どうやってリスクに対処すればいいのでしょうか?その答えのひとつが「分散投資」です。
分散投資とは?
分散投資とは、さまざまな種類の資産にお金を分けて投資することで、リスクを減らしながら資産を増やす方法です。
例えば、異なる動きをする資産を組み合わせて投資すると、ある資産が値下がりしても別の資産が値上がりすることで、全体のリスクを軽減できます。
例えば、国内の株式と国内の債券に投資する場合を考えてみましょう。一般的に、株式の価格が上がるときは債券の価格が下がることが多く、逆に株式が下がるときは債券が上がることがあります。これを「逆相関」と呼びます。
株式と債券を組み合わせることで、株式が下がったときでも、債券がカバーしてくれるため、リスクを抑えることができます。
分散投資の実例
日本の公的年金を運用している「GPIF」という機関も、この分散投資を活用しています。
GPIFは、日本株式25%、日本債券25%、外国株式25%、外国債券25%という割合で運用しています。
これにより、リスクを抑えながらも、年に3.75%から4%の運用利回りを実現しています。この運用モデルは、皆さんの資産運用にも参考になります。
例えば、この利回り4%で運用した場合、毎月1万円を20年間積み立てると、合計で367万円になります(元本240万円、運用益127万円)。
また、100万円を一括で20年間運用すると、合計で222万円になります(元本100万円、運用益122万円)。
リスクを抑えながら、これだけの運用益を出せるのは素晴らしいことです。
自分に合ったポートフォリオの作り方
自分に合った投資をするためには、リスクとリターンのバランスを考えることが大切です。
例えば、リスクを抑えたい場合は、債券の割合を増やし、リターンを重視したい場合は、株式の割合を増やすことができます。
GPIFのようなポートフォリオをベースにして、自分のリスク許容度に合わせて調整してみましょう。
投資は短期的な値動きに一喜一憂することなく、長期的に運用することが大切です。
長い目で見れば、資産はゆっくりと増えていくはずです。焦らず、落ち着いた気持ちで資産運用をしていきましょう!
まとめ
投資を始める際には、リスクとリターンの関係を理解し、自分のリスク許容度に応じた投資戦略を立てることが重要です。
リスクが高い投資ほどリターンも大きくなる可能性がありますが、それに伴う損失のリスクも大きくなります。
一方、リスクが低い投資は、大きな利益は期待できないものの、損失を被る可能性も少ないです。
自分の目標や状況に応じて、どの程度のリスクを取るべきかを考え、適切な商品を選ぶことが、資産を増やすための鍵となります。
リスクとリターンを理解し、計画的な投資を行うことで、資産運用をより効果的に行うことができるでしょう。