2024年に大幅に使いやすくなったNISA、多くの方が活用しているのではないでしょうか。
中でも人気を集めているのが「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」(通称オルカン)です。
これは最も多く購入されている投資信託で、続いて同シリーズの「S&P500」に連動するアメリカ市場向けのファンドが2位となっています。
これ以外にも、購入上位にランクインしているのは、ほとんどが「インデックスファンド」と呼ばれるタイプの投資信託です。
インデックスファンドは初心者からベテランまで幅広く支持されていますが、使い方を誤ると期待通りに資産が増えないリスクもあります。
そこで今回は、インデックスファンドの基本的な特徴や効果的な運用方法について解説します。
インデックスファンドを賢く活用して、資産を着実に増やしていきましょう!
1 投資信託の歴史
1.1 アクティブファンドからインデックスファンドへ
投資信託は、アメリカで1920年代に誕生した歴史ある金融商品です。
当初は一部の富裕層向けの商品に過ぎませんでした。
しかし、第二次世界大戦後の1950年代、401(k)や個人退職勘定(IRA)といった制度の普及により、中流階級にも広がりました。
当時の投資信託の主流は「アクティブファンド」で、手数料が高いのが特徴でした。
そんな中、1970年代半ばに投資信託の革命が起こります。バンガード社が提供した、S&P500に連動するインデックスファンドの登場です。
この商品は、低コストかつわかりやすいコンセプトで、長期的なリターンを目指す投資家たちの支持を集めました。
1.2 日本の金融改革とインデックス投資の普及
日本でも、アメリカと同様にアクティブファンドが中心でしたが、1990年代にマネックス証券などがバンガード社の低コストインデックスファンドを提供し始めたことで、インデックスファンドが徐々に浸透していきました。
これにより、質の悪いファンドが淘汰され、投資信託の健全化が進みました。
日本では、特定口座の設定や旧NISA、iDeCoといった制度改革が進む中、株式市場の低迷にもかかわらず、アメリカ株式を通じて大きなリターンを得る投資家が増加しました。
また、多くの投資家が「ウォール街のランダムウォーカー」、「敗者のゲーム」や「インデックス投資は勝者のゲーム」などの名著を通じて、インデックス投資の有効性を学びました。この結果、インデックスファンドに人気が集中するようになりました。
2 インデックスファンドとは
インデックスファンドは、特定の市場指数(インデックス)に連動する運用を目指す投資信託の一種です。
たとえば、日本のTOPIX(東証株価指数)に連動するファンドは、東京証券取引所に上場しているすべての銘柄(現在約2,160銘柄)に分散投資しています。つまり、日本の上場株式全体に投資するような仕組みになっています。
3 インデックスファンドのメリット・デメリット
3.1 メリット
- シンプルでわかりやすい
インデックスファンドは、特定の指数に連動する運用を目指すため、運用内容が明確で、成果もイメージしやすいのが特徴です。 - 簡単に分散投資ができる
指数に含まれる多くの銘柄に投資するため、個別銘柄の業績に左右されにくく、リスク分散が図れます。 - 運用コストが低い
アクティブファンドに比べて運用コストが低く、特に長期運用に適しています。 - 積立投資に最適
少額から始められるため、コツコツ積み立てる投資スタイルに向いています。
3.2 デメリット
- 個別銘柄の大幅な上昇の恩恵を受けにくい
指数と同じ値動きを目指すため、特定の個別銘柄が急騰しても、それを超えるリターンを得ることはできません。 - 指数によっては下落のリスクがある
投資対象の指数が必ず上昇するわけではなく、下落する可能性もあります。 - 指数の選択肢が限られる
日本株の場合、インデックスファンドの選択肢は日経平均225やTOPIXに限定されがちです。海外株式も同様で、幅広い指数に対応したファンドが少ないため、さまざまな投資をしたい人には物足りなく感じるかもしれません。
インデックスファンドは初心者でも始めやすく、大きな失敗が少ないうえ、長期投資に向いている商品です。いわゆる「ほったらかし投資」でも十分なリターンが期待できます。以下のポイントを参考に、自分の投資目的に合ったファンドを選びましょう。
4 インデックスファンドを選ぶ際のポイント
(1)十分に分散されたファンドを選ぶ
業種や地域が広く分散されたファンドを選ぶと、特定の業種や地域の株価下落リスクを抑えられます。
ポートフォリオのコアとするインデックスファンドは、特定のセクターに特化したものではなく、市場全体を対象とした商品がおすすめです。
例:主なインデックス
• 日本株:日経平均225、TOPIX
• 全世界株:MSCIオールカントリー・ワールドインデックス
• 米国株:S&P500、NASDAQ100
(2)低コストのファンドを選ぶ
運用コストが高いと、長期的にはリターンを大きく削ってしまいます。
次の2つのコストを確認しましょう。
• 購入手数料(販売手数料)
現在、多くのインデックスファンドは購入手数料無料(ノーロード)ですが、一部に手数料がかかるものもあります。購入手数料がかかる商品は避けましょう。
• 信託報酬(運用コスト)
信託報酬は低いほど良いです。目安として年率0.2%以下のファンドを選ぶと効率的です。
(3)純資産総額が大きいファンドを選ぶ
純資産総額が小さいファンドは、運用が難しく、指標と乖離したり、運用停止になるリスクがあります。
最低でも純資産総額100億円以上の商品を選びましょう。
(4)指標と連動しているファンドを選ぶ
運用実績はあくまでも過去のもので、将来の保証にはなりません。
しかし、ファンドの運用実績を確認して、指標と連動していない部分がある場合には要注意です。
何らかの事情でうまくできていない可能性が高いので、避けたほうがいいでしょう。
(5)分配金を出さないファンドを選ぶ
投資信託には分配金を出すものがあり、分配金には税金がかかります。これは、一種のコストです。
長期投資では、極力コストは抑えたいので、分配金を出さず、投資信託内部で再投資するものを選ぶと効率的に資産が増やせます。
5 インデックスファンドの上手な使い方
① 長期運用を前提に考える
インデックスファンドは、短期的な値上がりよりも、リスクを抑えつつ長期投資で複利の効果を活かすことに適しています。
購入したファンドは頻繁に売買せず、じっくりと時間をかけて運用するのがポイントです。
② 積立投資に最適
インデックスファンドは少額から投資できるため、積立投資に向いています。
定期的な収入がある方は、収入の一部を積み立てることで、知らず知らずのうちに資産を増やせるでしょう。
③ 今後成長が期待される市場を選ぶ
将来の市場動向を正確に予測することは難しいですが、例えば日本の成長を期待するならTOPIX、アメリカならS&P500など、自分の見通しに基づいて選ぶのがおすすめです。
成長予測が難しい場合は、全世界株式インデックスファンドのように幅広い地域をカバーする商品を選ぶと安心です。
④ タイプや市場が異なる商品を分散する
ポートフォリオを構築する際、特定のインデックスファンドに集中しすぎないことが重要です。
• 日本株に投資する場合でも、一部を外国株や公社債に配分する
• 異なる資産クラスや市場を組み合わせて投資する
このように分散投資を行えば、大きな損失リスクを抑えつつ安定的なリターンが期待できます。
特にリスク回避を重視する方は、この戦略を積極的に取り入れてみてください。
6 まとめ
インデックスファンドは、リスクを抑えながら資産を着実に増やしたい人に適した投資商品です。
時々、「50歳を過ぎてからでは運用期間が短く、インデックスファンドの効果を十分に得られない」という意見が聞かれることがあります。
しかし、人生100年時代といわれる現代では、50代や60代の方でもまだ十分な運用期間があります。
また、この世代はリスクを抑えた資産運用が特に重要です。
インデックスファンドの特性を活かした運用は、むしろ適した選択肢といえるでしょう。
もしまだ始めていない場合は、まずは少額から始めてみることをおすすめします。
少しずつ積み立てることで、時間とともに資産を増やしていくことができます。